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とうどよび 1年間農作業の手伝いにきてくれた人たちのご苦労よびです。作神様に農作物の収穫を感謝し、春採れた山菜から秋に収穫したものまでみんなつかって料理を作る。帰りのみやげとして、煮物を”つとっこ”に入れて、もらって帰る。
 

 農作業がようやくかたづき、12月に入ると1年の間で世話になった人たちをよぶ「とうどよび」を行いました。
 家から嫁にでおばたちが、2日も3日も泊まりがけで手伝いにきてくれるので、家の中は急に賑やかになります。「れんこん、ごぼうは少々生でもいいよ」等と言い合いながら、おひらを大なべで煮るにおい、土産っこ(つとっこ)を作るためにわらをすぐる手、その手の動きにおっかぶせるような「でっけえ土産っこ作れや」の年寄りの声。こんにゃく、豆腐、そばを打つ音。たいへんな作業のはずなのにみんなどこか弾んでいるようでした。
 ‘とうどよび’の当日は、男衆は酒を飲み、女衆は甘酒を飲み、親についてきた子供たちは、白いご飯にいろいろなおかずを食べながら、いつもと違う大人をめずらしげに眺めていました。
 ‘とうどよび’が終わる頃から雪が根雪に変わり、雪の中の生活が始まります。1ヶ月遅れの正月までの間は、大人も子供も一生けん命働きました。(12月の31日は昔は小さい年取りを言いました)学校から帰ってくると、大根飯にいも汁(いもじり:とろろいもをすり鉢ですり、みそ漬けのだし汁でのばしたもの)の食事もそこそこに済ませ、縄ないに出かけます。仲の良い友だちの家を順に廻り、縄ないをしたものです。夜も夜なべに縄ないをしました。11、12才のころでしたが、つらいと思ったことはなく楽しみでした。縄ないに飽きると大根のずみ漬け(がまずみの赤い実色できれいな桃色に漬かっていた)やしょうゆのみ湯、時には貴重なくし柿を食べたりと、友達と楽しいひと時を過ごしました。
 大根のずみ漬けの桃色は、まっ白い冬の中でも今も心の中に鮮やかに残っている色味です。
 私の子供の頃は、毎年それはそれは大雪でした。天から掃き落とすような雪の中での生活は、しいのい事もたくさんありましたが、今思い出されるのは楽しいことばかりです。(「あらいのごっつぉ」より)

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DATA : 参考文献「あらいのごっつぉ」
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